Roc(ロック)シリーズ考察!人気ミッドレンジの歴史やフライトの特徴を知ろう。
Rocは1987年に誕生して以来、Innovaを代表する製品として人気のあるミッドレンジです。多くのスペシャルエディションやチャンピオンエディションが存在し限定モデルの数も多く、また誕生以来何回もモデルチェンジが行われて現在に至る為、Rocの歴史はInnovaの歴史であり、Rocだけの愛好家やコレクターが沢山いるのも納得です。ここではキングオブミッドレンジとして名高いRocについてまとめておきたいと思います。ディスクファンやロックファンの皆様には物足りない内容かもしれませんが、ディスクゴルフに興味がある人や始めたばかりの人が製品の歴史を通してプレーとは別の角度からディスクゴルフの魅力を感じて頂ければと、また国内でのディスク購入事の参考になればとお付き合い頂けましたら幸いです。
Rocの基本情報
名前 | Roc(ロック) |
名前の由来 | 中東・インド洋地域の伝説に登場する巨大な鳥、アラビアンナイトのロック鳥 |
ブランド | Innova(イノーバ) |
販売業社 | Innova(イノーバ) |
公認 | 1987.1.1 |
認定番号 | 87-05 |
素材 | DX/DX Glow/KC Pro/Star |
フライトナンバー | 4/4/0/3 |
タイプ1 | ミッドレンジ |
タイプ2 | ややワイドサイズ |
最大重量 | 180.1g |
直径 | 21.7cm |
高さ | 2.0cm |
リムの深さ | 1.3cm |
リムの厚さ | 1.2cm |
Roc(ロック)の歴史
まずは、Rocの流れを時間軸で見ていきましょう。1983年にInnovaが創業しその4年後に発表されたRoc。現在に至るまで様々な分岐をし、人気ミッドレンジとして長く愛されています。
- 1987年初代Rocの開発
カリフォルニアのSan Marino(サンマリノ)で初代Roc(3/3/0/2)が開発され「Aviar putter(エビアパター)」「Hummer (ハマー)」「Stingray(スティングレー)」と同時期にPDGAの公認ディスクとして認定されました。
※この時のRocは現在の形とは全く別物で直径21.2cm、高さ2.0cm、リムの深さ1.3cm、リムの厚さ0.9cm、1985年に認定された「Coupe(クーペ)」に似た小ぶりなパター形状でした。 - 1989年最初のモデルチェンジ
最初のモデルチェンジが行われ今のRocと同じ直径21.7cmの大きな形状へと変わりました(①)。
- 1994〜
1995年2度目のモデルチェンジInnovaがカリフォルニアのOntario(オンタリオ)へと移ったタイミングで2度目のモデルチェンジがありました(②)。
①と②は同じフライトナンバー(4/4/0/3)ですが、②はよりドーミーで飛行性能もアンダーステーブルと違いがあり、区別するために、①はSan Marino Roc(サンマリノロック)またはSanny(サニー)、②はOntario Roc(オンタリオロック)と言われています。地図をご参照ください。 - 1995年初代Rocの名称がClassic Rocに
San Marino Roc(サンマリノロック)、Ontario Roc(オンタリオロック)との元となった小ぶりな初代Rocが名称を変え、Classic Roc(クラシックロック)として、1994年に認定され1995年から販売されました。
- 1997年3度目のモデルチェンジ-現在の一般的なRocへ
Ontario RocはSan Marino Rocよりアンダーステイブルなのが不評だったのか、InnovaがRancho Cucamonga(ランチョクカモンガ)へと移ったタイミングで3度目のモデルチェンジがありました。2020年現在、一般的に製造・発売されているRocはこのタイプです。
※こちらはRancho Roc(ランチョロック)と言われています - 2001年〜選手権オリジナルRoc製造開始
毎年、USDGC(United States Disc Golf Championship:全米ディスクゴルフ選手権)に合わせたオリジナルRocの製造が開始します。
※San MarinoタイプやOntarioタイプの復活や一般的には製造されていないChampion素材のRocなど色々な種類がありコレクターズアイテムになっています。 - 2004〜
2005年Pro素材Rocを限定的に製造Pro素材のRoc、Super Roc(スーパーロック)が限定的に製造されました。
- 2005年〜CFR-Ontario Rocスタート
InnovaのCFR(Custom Fund Raising)という、イベントやプロジェクトをInnovaが支援するプログラムで、Ontario Rocの金型を使用したオリジナルディスクの製造が可能になりました。
- 2006年Star素材Rocの誕生
Star素材のRoc、Rancho Star Roc(ランチョスターロック)が誕生しました。
※Rancho Star Rocは販売店によってRocの素材別として一緒にまとめられている事もあればRoc(DX、KC Pro)とは別のディスクとして分けられている事もあります。 - 2006年CFR-San Marino Roc利用可能に
CFRでSan Marino Rocが再現され利用可能になりました。
- 2009年Star素材-San Marinoモデル誕生
San MarinoモデルのStar素材Roc、San Marino Star Roc(サンマリノスターロック)が誕生しました。
- 2010年Roc+誕生
インナーリム(縁の内側)が末広がりになっており手離れが良いように改良したRoc+(ロックプラス)が誕生しました。
- 2014年V Roc誕生
San Marino RocをベースにデザインされたV Roc(ブイロック)が誕生しました。
- 2015年European Open限定V Roc3誕生
European Open(ヨーロピアンオープン)から限定品のV Roc3(ブイロックスリー)の製造が始まりました。
- 2017年Roc3誕生
プロプレーヤーPaul McBeth(ポールマクベス)のシグネチャーモデルとしてRancho Cucamongaでデザインされた3番目のRoc「通称:RC3」というディスクを開発し、2017年8月29日にPDGAに認定されRocよりハイスピードで安定するRoc3(ロックスリー)が誕生しました。
- 2017年RocX3誕生
Roc3を基に更にオーバーステイブルなRocX3(ロックエックススリー)が誕生しました。
こうして、初代Rocから現在に至るまで、モデルチェンジや、素材の多様化、派生モデルなどの製造がおこなわれ、その都度ファンが増えていった歴史あるディスクとなりました。
Roc(ロック)の飛行性能比較チャート
Rocシリーズに関して、飛行性性能をまとめたチャートです。
- 初代Roc(クラシックロック)は唯一のスピード3。
- 「San Marino Roc(サンマリノロック)」「Ontario Roc(オンタリオロック)」「Rancho Roc(ランチョロック)」は同じRocですが金型が違い、同フライトナンバーでも飛行性能が異なります。フェードの強い順に並べると「Rancho」>「San Marino」>「Ontario」となる為、現在のRoc(Rancho Roc)はシリーズの中で1番フェードが強いです。
- よりハイスピードで安定するオーバーステイブルなRoc3、それをさらにオーバーにした1番オーバーステイブル性能なRocX3。
Rocについて-考察
Rocの歴史や特徴についてはなんとなくご理解いただけたと思います。続いて、現在の生産状況やその他の情報を見ていきましょう。
3つのRocの見分け方や生産状況
歴史と共にそれぞれの金型で製造されたRoc、「San Marino Roc(サンマリノロック)」「Ontario Roc(オンタリオロック)」「Rancho Roc(ランチョロック)」。一般販売されている通常プリントのRocは1997年からRancho金型でしか製造されておりません。ですがスペシャルエディションやチャンピオンエディション、そしてCFRプログラムなど限定品に関しては今でもSan MarinoやOntarioの形状で生産されている事があり、モデルの違いはプリントやボトムに刻印された製造元などで確認する事が出来ます。
初期のSan Marino RocとOntario RocはDX素材しか存在しません。現在のRancho RocはDX素材、KC Pro素材、Star素材の3つで造られており、Champion素材やPro素材などは限定品として販売されています。
一般的なプリントのStar素材RocはSan MarinoとRancho2つの金型で製造されており、トップの部分にどちらのモデルか大きくプリントされているので分かりやすいです。
初代Rocを投げてみたい場合はClassic Rocを
1987年に誕生した初代Rocは今のRocとは全く別物として扱われる事が多いですが、Classic Roc(3/3/0/2)が形状を受け継いでおります。初代の形状を投げてみたい場合は是非Classic Rocを試してみてください。
※ただし、Classic Rocも希少で中々手に入りません。
V Roc3とLION
European Open限定モデルのV Roc3(5/4/0/2)に通常プリントのモデルはありません。(ヨーロピアンオープンの資金調達ディスクとしてのみ販売されていましたが、最近では別のオープンの限定モデルにもなっています。)限定モデルなので、日本で簡単に手に入るディスクではありませんが、2019年から生産されているLion(ライオン)においてEuropean Openを連想させるライオンのモチーフやフライトナンバーが同じなど幾つかの共通点があり、関係性を思わせ興味深いです。
「ROC」と「CRO」と「ORC」
Innovaのディスクに「Cro(クロ)」と「Orc(オーク)」というディスクがあります。どちらもR.O.Cの3つのアルファベットで直径は初代Rocと同じ21.2cm、飛行性能はオーバーステイブルと共通点らしきものがあるので、何処かInnovaが意図した遊び心があるのかもしれません。
発売から30年以上が経つ現在でも数々の新製品が開発されている中で大手販売メーカーの年間売り上げトップ30に入ってくるほど誰もが認め愛され続けるRoc。これからも新しいバリエーションが増え、そして常に品質と性能が向上していく事を楽しみにしています。
以上、Rocについて、歴史やフライトの違い、それぞれの生産状況や特徴などをまとめてみました。それぞれの製品情報は各個別記事をご覧ください。