WGE(Women’s Global Event)とは
WGEとは、PDGA Women’s Committeeが開催するWomen’s Global Event(ウーメンズ グローバル イベント)のこと。世界中の女性が参加できる、世界同日開催のディスクゴルフ大会です。今回はこのWGEの歴史や大会についてを見ていきましょう。
WGEの歴史や参加人数
PDGAの女性会員の数は、2016年の段階で2,728人、2020年には4,752人、2021年には7,927人と、この5年でおよそ3倍弱に増加しています。この人数は、PDGA全体のアクティブメンバー109,862人のうちの7.2%。割合としてはまだまだ少ないものの、会員でないプレーヤーの方も多いことや、ディスクゴルフの世界的な拡大を考慮すると、これから増えていく段階であるのが女性プレーヤーでしょう。(ちなみに2016年も女性会員は約7%でしたので割合は横ばいです)
そんな中「多くの女性がより参加しやすいイベントを」と、2年に1回の隔年で開催されているイベントがWGE。そのコンセプトにちなみ、部門は23とかなり細かくわけられ、お子さんから年配の方、また練習中のビギナーの方も参加がしやすい大会になっているのも特徴的です。2012年からスタートし、2014、2016、2018、そして2020年がコロナの影響で2021年へ延期となり、2022年で6回目の開催となります。
地元にいながら世界中のプレーヤーと競える
このイベントの面白いのは、各地で行われる複数のイベントではなく、世界中を網羅する1つのイベントであるということ。WGEは世界中でも最大の人数が参加するディスクゴルフイベントとして記録を更新し続づけています。
Paige Pierce(ペイジー・ピアース)選手が優勝した初年度2012年は、世界の42トーナメントで636名が参加。2018年はアメリカの39州と世界の14カ国から80ものトーナメントが登録され、2092名の女性が23の部門に参加。さらに日本ではコロナの影響で残念ながら中止となりましたが、前回2021年には、アメリカ、ヨーロッパ、北欧、オーストラリア、中国など、世界中で99のトーナメントがあり、合計3224人の女性が23の異なる部門で競い合い、まさに右肩上がり。これから開催となる2022年は少なくとも16か国以上がエントリーしており、過去最大の人数が見込まれます。
日本でのWGE
日本では、第2回開催となる2014年から、東京都立川市の昭和記念公園常設コースを利用しイベントに登録。プロ部門ではValarie Jenkins(ヴァレリー・ジェンキンス)選手が1位、Catrina Allen(カトリーナ・アレン)選手がペイジー選手を抑えて2位となった年でしたが、日本からはAdvanced Grandmasters Women部門(38名参加)でKuniko Yoshioka選手、アンダー13歳部門(33名参加)でSaika Hori選手が見事1位を獲得しています。
さらに山梨県の清里の森オープンと併催された2016年大会でもSaika Hori選手はアンダー16歳部門(28名参加)で1位を獲得、Naoyo Yoshida選手#66816 がAdvanced Masters Women部門(70名参加)で1位、Sachiko Sato選手#8111がGrandmasters Women部門(16名参加)で2位を記録されています。
今年2022年は、岩手県北上で行われるにみちのくオープンに合わせた「Michinoku Open 2022 + WGE」と、東京昭和記念公園で開催される「WGE Tokyo 2022」の2箇所での開催が決まっており、世界の中でどのような記録が残せるか楽しみなところ。世界に行かずとも世界と戦える。それがこの大会の魅力の1つでもあるでしょう。
世界中の異なるコースでどのようにランキングを出すのか?
さて、開催地もコースも異なる中、どのように世界と戦うことになるのでしょうか?開催にはいくつか条件があります。
- 指定された日程(2日間)の中でトーナメントを開催し、最初の2ラウンド(18ホール×2)のスコアをTDより提出すること
- 難易度の異なるコースやコンディションを平均化するために、同じコースレイアウトで(ただし2022年から2ラウンド両方同じコースである必要はなくなりました)最低3人のレーティングプロパゲーターがプレイすること
※プロパゲーター(propagators)とは、700以上のレーティングを持ち、最低8つのレーティングラウンドを経験しているプレーヤー
※イベントにプロパゲーターの女性が足りない場合は、男性で対応することも可能です。
これらの条件のもと行われたスコアがPDGAにより計算されラウンドレーティングがつき、プレーヤーの「グローバルスコア」が決定されます。プロパゲーターが基準となりその人と自分のスコアを比較することで、世界で異なるコースをラウンドしていても、ランキングとして計算されるんですね。
女性が少ないエリアでも開催は可能!
WGEに関するPDGAへの質問のなかで、「地元に女性プレーヤー1人しか居ないのですが、開催出来ますか?」という問いがあったのですが、答えは「可能」です。WGEは前述のように「世界のプレーヤー」と戦っているので、日本で行われる大会でたとえ部門1人でも成立します。WGEのTDが男性でも、プロパゲーターが男性でも問題ありません。
※もちろん開催には下記の要件をみたす必要があります。
TD として、WGE の必須要件は何ですか? (トーナメントディレクター向け)
- 現在のすべての PDGA ツアー基準に準拠する必要があります。
- WGE トーナメントでは、オンライン プレーヤー登録ページに DiscGolfScene.com を使用することをお勧めします。これにより、WGE スタッフはプレイヤーとトーナメント ディレクターの両方とのコミュニケーションを合理化できます。
- ディビジョンに選手が 1 人しかいない場合でも、23 のディビジョンすべてを提供する必要があります。参加者は、ラウンド レーティングを介して世界中の女性と対戦しているため、これらのプレーヤーは実際には 1 人でプレーしているわけではありません。
- すべての WGE トーナメントは、PDGA によって正式に認可されなければなりません。トーナメントを承認するには、 http://www.pdga.com/online-sanctioning-agreementにアクセスし、承認同意書を提出してください。イベント ノートに、トーナメントをウィメンズ グローバル イベントに含めたい旨を必ず明記してください。
- 12 歳未満のジュニア ディビジョンの場合、第 1 ラウンドのスコアはトーナメント ディレクターによって提出され、PDGA によって評価されます。PDGA女子グローバルイベントの正確なレーティングを取得するには、12歳未満のジュニアがプレーするレイアウトには、同じレイアウトをプレーする少なくとも3人のプロパゲーター(700以上の公式レーティングラウンドが8ラウンド)が必要であることに注意してください。 他のすべての部門では、各参加トーナメントの最初の 2 ラウンドのスコアが個々のトーナメント ディレクターによって提出され、PDGA によって評価されます。これらのラウンド レーティングを合計して平均し、プレーヤーの「グローバル スコア」を決定します。ラウンドが資格を得るには、イベントは 2 ラウンドを含み、レーティングを可能な限り正確に計算するために、少なくとも 3 人のレーティング プロパゲーター (PDGA レーティングが 700+ で、公式にレーティングされたラウンドが最低 8 ラウンドあるプレーヤー) が各ラウンド中に同じコース レイアウトでプレーする必要があります。グローバル スコアは終日更新され、PDGA.com を通じて女子グローバル イベント チャンピオンが正式に発表されます。
- 女性のみの単独の WGE トーナメントを認可する場合は、イベントの名前を「WGE – XX」と指定してください。XX はイベントの名前です。(例: 「WGE – スプリングフィールド ディスク ギャルズ」)。
- 男性と女性の参加者がいる場合は、トーナメント タイトルの末尾に「+ WGE」を追加します (例: 「Springfield Sizzler + WGE」)。
2022年の日本でいうと、昭和記念公園で行われる「WGE Tokyo 2022」のように女性のみの単独のトーナメントとして成立させていたり、みちのくオープンのようにすでにある大会と併催させ「+WGE」(男性もいる大会の場合は+WGEと表記される)として開催したりしています。女性だけで開催する必要が無いことを考えると、新たにトーナメントを作るなど様々な対応が可能そうですね。
WGEトーナメントのプレーヤーズキットや賞品も魅力
WGEではオリジナルのプレーヤーズキットが貰えるのも嬉しいポイントの一つ。(主催者側で用意された場合のみなので、貰えない場合もあります。)
2022年のプレーヤーズキットはこちら!INNOVAのスター素材ROADRUNNER、Dynamic DiscsのWardenかJudge。ディスクはいずれもオリジナルWGEスタンプです。それ以外にも、以下のようなグッズが入っています。
- Disc Golf ピンズ
- ステッカー
- トートバッグ
- ロゴタオル
- スコアカード
- ペン
ちなみに前回のディスクはJudgeとMambaでした。今回がROAD RUNNER(9/5/-4/1)、前回はMamba(11/6/-5/1)と、女性でも投げやすいアンダーなディスクを選ばれているであろうことがよく分かりますね。ちなみにこのプレーヤーズキット、イベント終了後にまだ在庫がある場合はPDGAで個人的に購入も可能です。
メインスポンサーは日本でもお馴染みのZÜCA
WGEのメインスポンサー(プラチナスポンサー)はスムーズに移動できる高機能カートのZÜCA。日本では定番の黒を持っている方が多い印象ですが、スポンサー賞品として提供されるのはこんな鮮やかなピンク!349ドル(46,502円相当)がなんと合計23台も提供されます。優勝者のカートには、WGEのロゴと「Champion」の刺繍が施されているそう。これは欲しくなります。
最後に
日本においてプレーヤーは増加しているように見えますが、女性のプレーヤーはまだ少なく、伸びしろが大いにある状態。世界を見てもそれは同じで、PDGAの女性委員会の委員長であるエレイン・キングさんが語っていた2021年の目標「3,000人以上の女性が、5大陸の20以上の国で150以上のトーナメントに参加することが2021年WGEの目標」を見てみると、人数は達成したものの、国の数とトーナメント数の目標達成はこれから目指すべきところです。日本からもたくさんのプレーヤーが参加できるよう、これからWGEの大会も日本全国で増えていくと面白いですね!