自分に合ったディスク選びのために知っておいた方が良い情報の1つが「フライトナンバー」です。フライトナンバーとはディスクの飛行に関する特徴(どのように飛ぶか?)を数値化したもの。ここでは、初めてのディスク選びの際でも使える、フライトナンバーを学んでおきましょう。
フライトナンバーってなに?
ディスクの飛行性能を「スピード」「グライド」「ターン」「フェード」の4つに分けて数値化したデータで、ディスク本体などに表記されています。
大抵の場合は「3/3/0/1」のように左から「スピード/グライド/ターン/フェード」の順で横並びに表記され、この数値を確認する事で各ディスクがどのような飛び方をするかおおよそ判断する事が可能です。後ほど詳しく説明しますが、4つの数字の関係性は下記のようになります。
- スピード:ディスクが安定して飛行するために必要な初速
- グライド:ディスクが浮遊する力・揚力
- ターン:ディスクの飛行前半に回転方向(時計回りなら右方向)へ進む力
- フェード: ディスクの飛行後半に回転方向とは逆(時計回りなら左方向)へ進む力
まずは大まかにフライトナンバーを知りたい!という方には菊地選手の動画が非常に分かりやすいので、一度ご覧になってから下の解説を見て頂くとすんなりと情報が入ってくるかと思います。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
スピード(Speed)とは
ディスクの飛びを安定させる為に必要な初速を数値化したものです。1〜14まであり小さい数値ほど弱い力で安定し、大きい数値ほど強い力で安定します。 (“安定する”は“まっすぐ飛ぶ”と考えて良いでしょう)
スピード1〜3は「パター」と言われるディスクで安定したパットがしやすいです。パットの他にも80mくらいまでのスローで使用する人が多く、力のあるプレーヤーだと100m以上飛ばす人もいます。万能なディスクなので1枚は持っておきたい数値のディスクです。
以降スピード4〜5は「ミッドレンジ」、スピード6〜8は「フェアフェイドライバー」または「コントロールドライバー」、スピード9〜14は「ディスタンスドライバー」と部類され、飛距離が延びるぶん安定させるために必要な力も増していきます。
フライトナンバーの「ターン」「フェード」の数値は、適切な「スピード」で投げ出した際のディスクの動きを表したものです。初速が足りない場合はフェードがより強くかかり、初速が速い場合はターンがより強くかかります。例えば右手でバックハンドスローをした場合、下記フライトパスのように初速が早いと右へ、遅いと左へ曲がる動きが強くなります。
グライド(Glide)とは
ディスクに発生する揚力( 浮揚力 )を数値化したものです。1〜6まであり小さい数値ほど風の影響を受けにくく、大きい数値は弱い力でも飛距離が伸びやすいのが特徴です。揚力が大きいと「ターン」がかかりやすく、揚力が小さいと「フェード」がかかりやすいので風や力量によって最適なグライドは変化します。※まれにグライド0(AGLのBaobabなど)やグライド7(LatitudeのRiverなど)表記のディスクもあります。
スピード1〜5までのディスクではグライド1〜5くらいまでの表記が多く、中でも3・4あたりが1番平均的で、スピード6〜14までのディスクではグライド3〜6までの表記が多く、4・5あたりが平均的です。最初の内は平均からそれ以上の数値のディスクがオススメです。
ターン(Turn)とは
ディスクの飛行前半に揚力などにより変化する動きを数値化したものです。0を基準にして1〜-5までの数値があり、小さい数値ほど飛行前半にディスクが回転方向(時計回りの場合は右方向)へ進む力が強くなります。※ProdigyのF Model OSなど、ターン+2と表記されているディスクもあります。
力が弱くスピードの数値に適切な初速が足りない場合はフェードが強くかかります。その場合ターンの数値がよりマイナスなディスクを投げる事で飛行中のバランスを調整し真っ直ぐ飛ばす事も可能です。ターンが強く回転方向へ進みやすい飛行性能をアンダーステイブルといいます。
下記は適切な初速だと右へ向かうアンダーステイブルなディスクも、力が弱いとまっすぐ飛ぶというフライトパスです。
フェード(Fade)とは
ディスクの飛行後半に重力などにより変化する動きを数値化したものです。0を基準にして0〜5までの数値があり、大きい数値ほど飛行後半にディスクが回転方向とは逆(時計回りの場合は左方向)へ進む力が強くなります。
力が強くストレート性能のディスクに強いターンがかかってしまう場合はフェードの数値が大きいディスクを投げる事で飛行中のバランスを調整し力強く真っ直ぐ飛ばす事が可能です。フェードが強く回転方向とは逆へ進みやすい飛行性能をオーバーステイブルといいます。
下記は適切な初速だと左へ曲がるオーバーステイブルなディスクも、早い初速で投げればまっすぐ飛ぶというフライトチャートです。
ディスクのフライトナンバーの事例
具体的なディスクのフライトナンバーで飛行特性をチェックしてみましょう。
例1:エビアのフライトナンバー
Innova社のエビアというディスクです。 フライトナンバーは「2/3/0/1」。スピードが2なのでパターに部類されるディスクでグライド3の平均的な揚力が発生する形状をしています。適切な初速で投げ出した場合、ターン0なので飛行前半は真っ直ぐ飛び、飛行後半にフェード1ぶん少しだけ回転方向とは逆(時計回りの場合は左方向)へ進みながら着地します。大体50〜70mくらいを適切に投げ出した場合の軌道です。
例2:ダイアモンドのフライトナンバー
Latitude64°社のダイアモンドというディスクです。フライトナンバーは「8/6/-3/1」。スピード8のフェアフェイドライバーまたはコントロールドライバーと部類されるディスクでグライドが最大値の6もあり揚力が発生しやすい形状です。適切な初速で投げ出した場合は飛行前半にターン-3ぶん回転方向(時計回りの場合は右方向)へ大きく進み、フェードは1ありますがターンが強いので殆どそのまま回転方向へ進んで着地します。アンダーステイブルなディスクです。弱い力で投げ出した場合、強いグライドとターンが助けになって長く真っ直ぐ飛ぶ軌道へと変化します。あまり強い投げ出しが出来ないプレーヤーにはストレートなドライバーとして重宝される数値です。
例2:ロック のフライトナンバー
Innova社のロックというディスクです。フライトナンバーは「4/4/0/3」。スピード4はミッドレンジに部類される形状で弱い力の投げ出しやコントロールして中距離を飛ばす時にはフェードの3が影響し飛行後半に回転方向とは逆(時計回りの場合は左方向)へ大きく進むオーバーステイブルなディスクといえますが、このディスクを強い力で投げ出した場合は高速飛行によるターン(時計回りだと右方向)の動きをオーバーステイブルな形状が相殺し非常に真っ直ぐな飛行へと変化します。グライドとフェードのバランスがアクセントになり様々な使い分けが出来る面白いディスクです。
以上、フライトナンバーの解説でした。