ディスクゴルフを始めてから、高原や山のコースでブヨに、林のコースでヒルに、そして夏場の蚊にと、常に足の虫刺され痕が消えない編集部です。
今年も良く刺されたなとしみじみするのも一興ですが、試合中に集中力が欠けたり、思ったよりもかゆみや痛みが長引いてしまったり、重篤な感染症の原因になったりと、弊害があるのも確か。今回は、自分が以前ブヨに刺されかなり辛い思いをした記憶から、虫対策をしっかり行おうと、おすすめの方法や虫よけなどをじっくり調べ上げてみました。
少し長いですが、①虫の特徴→②虫よけの服装→③おすすめの虫よけスプレー→④その他虫対策→⑤虫に刺されたら→⑥このコースではこの虫に注意!の順で説明していきます。
ディスクゴルフコースに出る虫の基本スペック
まずは相手を知るところから始めましょう。
蚊(イエカ)。日本で見られる一般的な蚊の1つ。やぶ蚊と比べ色は茶色く、どこにでも発生する。人の吐く息、臭い、体温などに反応し、特に足の臭いが好物。黒い色、濃い色の服に寄りやすく、薄く明るい色(白や黄)は寄りにくい。日中よりも明け方や夜間が活発。メスは吸血する際、血液凝固剤、麻酔物質が含まれている唾液を体内に送るため、その成分を体から出そうとする抗ヒスタミン成分で刺された場所がかゆくなる。フィラリアの媒介にもなる。
やぶ蚊(ヒトスジシマカ)。イエカと並び一般的な蚊。日中に活動を活発にするので、ディスクゴルフ中に刺されるのはやぶ蚊であることが多い。その他の特徴はイエカと同様だが、痒みはイエカよりも強いといわれる。デング熱の媒介にもなる。
ブヨ(ブユ・ブト)。コバエくらい(3~5㎜)サイズの虫。綺麗な水がある場所でしか生息できず、湿度のある山や高原などを好む。木陰や明け方、夕方を好み、日光はあまり得意ではい。臭い、温度、息などで人を感知する。色の好みはほぼ蚊と同様で、黒い服を避け、白・黄色の服を着ると良い。近寄る時に羽音もせず、吸血する際に麻酔成分を出してから皮膚を噛み切るので気づきにくい。唾液から酵素毒を出し、数時間から数日後に噛まれた箇所が水膨れ、腫れ上がる、猛烈な痒みなどの症状が出る。
アブ。1㎝ほどのハエとハチの中間くらいの虫。牧場など動物がいる場所、水辺に多い。木陰や明け方、夕方を好み、日光はあまり得意ではい。温度、息などで人を感知する。色の好みはほぼ蚊と同様で、黒い服を避け、白・黄色の服を着ると良い。ブヨと似ているが、噛まれた瞬間に痛みがあり、翌日などに痒みの症状が出る。
ヤマヒル。日本全国に生息するヒルの中でも吸血性のヒル代表。顎で皮膚に削るように傷を作り、出た血を吸う。その際「ヒルジン」という麻酔効果・血液を固まらないようにする効果のある成分を出すので、噛まれたことに気が付きにくい。痛みや痒みはないが、出血が多いので驚くことも多い。
マダニ。日本の西側に多く生息する大型(3㎜ほど)のダニ。口で噛みつき数日間かけて(長いと10日も)血液を吸い、1㎝ほどまで大きくなる。噛む際に麻酔成分、セメント様物質を出すので、気が付かないうえにしっかり固まり取れない。無理に取ると口部分が体に残るため必ず医療機関にて処置を。麻酔が切れると痛みいや痒みを感じるが、それより恐ろしいのは「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という感染症の媒介になる(ワクチンや薬がなく致死率は6~30%)ことなので、必ず対策を。
名称 | 原因 | 感知するもの | 基本症状 | 季節 | 活発な時間や出没地 |
---|---|---|---|---|---|
家蚊 | 吸血(針を刺す) | 体臭、湿度、体温、炭酸ガス(息など)、光 | 腫れと痒み(すぐに) | 20~30度の季節(4~10月) | 夜間、水場付近 |
やぶ蚊 | 吸血(針を刺す) | 体臭、湿度、体温、炭酸ガス(息など) | 腫れと痒み(すぐに) | 20~30度の季節 (4~10月) | 明け方/夕方/水場付近 |
ブユ | 吸血(皮膚を噛み切り血を吸う) | 体臭、湿度、体温、炭酸ガス(息など) | 腫れと強い痒み(数時間~数日後) | 寒い時期以外 (湿度の6~9月が活発) | 明け方/夕方/綺麗な 水辺 |
アブ | 吸血(皮膚を噛み切り血を舐める) | 温度、炭酸ガス(息など) | すぐに腫れと痛み→数時間から数日後強い痒み | 寒い時期以外 (湿度の6~9月が活発) | 明け方/夕方/水場付近 |
ヒル | 吸血(皮膚を削る) | 体温、炭酸ガス(息など) | 止まりにくい 出血 | 寒い時期以外 (湿度の6~9月が活発) | 明け方/夕方~夜間/水場付 |
マダニ | 吸血(噛む) | 体臭、湿度、体温、炭酸ガス(息など) | 痛み、痒み(数日後) | 3月~10月 | 25度前後の時/草むら |
吸血虫から身を守るための服装
今回の記事作成にあたり、ネットリサーチだけでなく、参考意見として普段お会いするディスクゴルファーの皆様、清里の森ディスクゴルフコースへ行く途中にある山梨のブドウ農家さん(20代と50代)、京都スチールの森ディスクゴルフコースへ行く途中の山椒農家さん(60代)、舞子付近でペンションを営む夫婦(30代)からお話を伺いました。
1番大事なことは肌を出さない、肌まで到達させないこと
意見を聞くなかで、共通していたのが「長袖長ズボン、肌を出すな」という基本が1番の良策だということ。毒出し機なるものまで購入したというブドウ農家さんも、散々試したけれどアナログが1番強いとのことでした。とはいえ夏の暑い時期のディスクゴルフです。それも踏まえ以下のような服装が良いでしょう。
- 適度なゆとりのある長袖、半袖の場合薄手のナイロンパーカーを羽織る、アームカバーをつける、下に長袖インナーを着る
- 足にぴったりくっつくレギンス、スパッツ、タイツ(履いていても刺される)より、適度なゆとりのあるズボン
- 靴下は厚め、長めを選ぶ
- つばのある帽子、首にネックウォーマーやタオル
試合の時などは、襟付きシャツを着ることが多いと思いますが、その際は真ん中の写真のように下にインナーなどを着れると良いですね。
よく海外では写真右のように素足スタイルでディスクゴルフをしていますがここは高温多湿の日本。くるぶしなども出ないよう足を隠すことが1番の虫対策になります。
ブヨや蚊の対策には明るい色の服を
ヒルは色によって寄ってくるなどの行動はしませんが、蚊やブヨは色の好みがあります。黒い色を好むだけでなく、黒色は熱を保ちやすいので、「温度」の面からも蚊やブヨを寄せ付けてしまいます。また、マダニの付着を発見しやすく出来るメリットも。白・黄色など薄くて明るい色の服を選びましょう。
ディスクゴルファーの持っている虫よけスプレー
続いて、ラウンド中に持っていたい虫よけグッズや、おすすめの虫よけスプレーの選び方などのご紹介です。今回、自分が虫よけスプレーを買うため、その他対策をするために書いたようなこの記事なのでしっかり調べ長いかもしれませんがぜひご一読を。お急ぎの場合おすすめ商品を見てくださいね。
虫よけスプレーはディート・イカリジン配合の高いものを選ぶ
薬局に行ってたくさん並ぶ虫よけスプレーですが、選ぶ際に見るべきは虫よけ成分の「ディート」もしくは「イカリジン」の配合割合です。配合率が高いと「強力」…ではなく、持続時間が長くなるということだそう。ちなみにディート(30%)とイカリジン(15%)は同等の忌避効果です。試合中など何度も虫よけスプレーが使用できない場合が多いので、配合率の高いものが便利そうです。
ディートとは、世界で1番使われている忌避効果のある害虫除け薬剤。第二次世界大戦での密林戦の経験から生まれ1957年から使用されている。虫の触覚に作用し吸血するための行動を低下させる。日本では30%配合までが認可されているが(2016年)、海外では98.11%の商品も販売されている。神経毒性を疑われる研究結果があったため日本やカナダでは年齢での使用制限が設けられた。
イカリジンとは、WHO(世界保健機構)推奨の忌避効果のある害虫除け薬剤。1986年にドイツで開発。虫の触覚に作用し吸血するための行動を低下させる。日本では2015年から使用が認可されている(15%まで)。より肌に優しくディートのように年齢や回数の使用制限がない薬品。分子量が大きく蒸発しにくい。対応できる虫の種類はディートより少ない。
結論を言いますと、日本で市販されている虫よけの中では以下を考慮して選ぶのが良いでしょう。
- より多くの虫から身を守るならディート30%配合
- 普段使い、使用頻度が高い、お肌が弱い方やお子さんの虫対策、運動中蒸発しにくい、スポーツウェア(ナイロン製)に使うならイカリジン15%配合
虫の種類 | ディート(30%配合) | イカリジン(15%配合) |
---|---|---|
蚊 | 〇 | 〇 |
ブヨ | 〇 | 〇 |
アブ | 〇 | 〇 |
マダニ | 〇 | 〇 |
ヒル | 〇 | ー |
サシバエ | 〇 | ー |
トコジラミ | 〇 | ー |
ノミ | 〇 | ー |
家ダニ | 〇 | ー |
ツツガムシ | 〇 | ー |
特徴 | ディート(30%配合) | イカリジン(15%配合) |
---|---|---|
使用年齢制限 | 12歳未満には使用不可 ※ディート12%以下の場合は2歳~12歳未満は1日3回まで 6か月~2歳未満までは1日1回まで使用可能 | なし |
臭い | あり | なし |
繊維を傷める | プラスチックを溶かす | なし |
持続時間 | 6~8時間 | 5~8時間 |
肌の影響 | お肌が弱い方はやや注意 | 肌に優しい |
粘膜への利用 | 目や口の周囲、粘膜等を避ける | 目や口の周囲、粘膜等を避ける |
ディート(30%)配合の虫よけスプレー
具体的な商品を羅列していきます(おすすめ順ではありません。)。スプレー、ミスト、ジェルなどのタイプで選んだり、価格や香りなど視点から選ぶと良いでしょう。特に、持ち運びしやすい形状や、ディスクを持つ手に影響する「使用感」はご自分に合うものを見つられると良いですね。
【アース製薬/第2類医薬品】医薬品 サラテクト リッチリッチ30(ガススプレー)
【アース製薬/第2類医薬品】医薬品 サラテクトミスト リッチリッチ30 (ミスト)
【池田模範堂/第2類医薬品】ムヒの虫よけムシペールPS30(ガススプレー)
【池田模範堂/第2類医薬品】ムヒの虫よけムシペールα30(ノンガススプレー)
【フマキラー/第2類医薬品】スキンベープミストプレミアム(ノンガススプレー)
イカリジン(15%)配合の虫よけスプレー
【フマキラー】天使のスキンベープミスト プレミアム(ミスト)
【フマキラー】天使のスキンベープジェル プレミアム(ジェル)
【レック】スキンバルサン ガードミストウォーター (ミスト)
【キンチョー(大日本除虫菊)】お肌の虫よけ プレシャワーDF PRO
ラウンド時の虫よけ方法
虫の入らない服を着る、虫よけスプレーを使う。ここまででも十分ですが、さらにこんな方法を追加すると虫よけ対策がより強固になります。
屋外用の蚊取り線香/ベープ
持ち運びできる蚊取り線香や乾電池式のベープ利用している人も多いですよね。屋外用は蚊取り線香の太さが通常の3倍ほどあり、燃焼した際の煙が多いのが特徴。屋外用にもたくさん種類がありますが、最強の屋外用商品はこれ。
【児玉兄弟商会】富士錦パワー森林香(赤色)
一般的な蚊取り線香の10倍の効果(殺虫成分のメトフルトリン配合量)、農業や林業用に開発され、湿気にも強い。ちなみに商品には対象の昆虫はユスリカ、チョウバエ、アブと書いてありますが、メトフルトリンは蚊にも効果のある成分です。
【フマキラー】どこでもベープNo.1 未来セット メタリックグレー 不快害虫用
屋外用のベープの中ではこちらが強いです。フマキラーが発売した初代製品より15倍の効き目。有効成分は森林香と同じメトフルトリンです。こちらも医薬品ではないため、蚊への効果は言及できませんが、しっかり蚊よけもしてくれます。
足元に防虫ネット
清里の森付近の農家さん、舞子付近のペンションの方が挙げていたのがこの防虫ネット。全身着るタイプのものが最強ですが、例えば1番刺されやすい足をガードするだけでも違うそうです。ディスクを投げる際邪魔にもならないので良いですね。
手作りハッカスプレー
ヒルの多い愛川ふれあいの村コースをホームコースとしている方、そしてブヨが多い舞子近くのペンションのご夫婦が愛用されていたのは手作りハッカスプレー。薬局で購入できるもので簡単に作れるので、便利ですよね。
以下の材料を①から順にスプレーボトルに入れ混ぜるだけ!
- 無水エタノール10㎖
- ハッカ油5~10滴
- 精製水90㎖
※香りが無くなるので使用期限は1週間を目途
※ポリスチレン素材のボトルは溶けるのでNG!
※目の周りを避けて使用しよう
体をよく拭く、靴下や服を取り換える
蚊、ブヨ、マダニは人の臭いにも反応します。特に蚊は汗腺の集まる足により集中しやすいことも有名ですよね。足の裏を市販のボディシートや、ハッカスプレーをかけたタオルなどで拭く、靴下を変えることで虫の集まる原因を抑えましょう。
吸血された後の対処方法
それでも刺されてしまうのが虫の怖いところ。吸血された後の対処方法を虫ごとにチェックしておきましょう。
蚊に刺されたあと
- すぐ水で洗って清潔に(ラウンド中は水を持ち歩いておくと便利です)
- 市販の虫刺され薬(抗ヒスタミン)を塗る(蚊の場合はステロイド配合、非配合どちらでもOK。)
個人的には塩をすりこむ(蚊の唾液は弱酸性、そして塩はアルカリ性。塗ることで中和され痒みが和らぐ)方法も効果を感じました。実は根拠がまったく無いそうなのですが、昭和記念のコースで刺された後に実験したところ個人的には有効だったので書き留めておきます。
ブヨ、アブに刺されたあと
- すぐ水で洗う(ラウンド中は水を持ち歩いておくと便利です)
- 市販の虫刺され薬(抗ヒスタミン)を塗る。ステロイド配合の市販薬が良いでしょう。
- 炎症や痒みが激しい場合は医療機関(皮膚科など)を利用しましょう
ヒルに噛まれたあと
- ヒルを体からはがしましょう。この際、無理やりはがすと皮膚を傷つける可能性があります。塩、火(ライターやチャッカマン)、煙、酢、虫よけスプレー(ディート系)などをかけて取りましょう。
- すぐ水で洗う(ラウンド中は水を持ち歩いておくと便利です)もしくはポイズンリムーバーでヒルが出した成分を吸いだすのも有効です。
- アルコール消毒、止血。あればアルコールなどで消毒しましょう。血がけっこうでますので、ティッシュなどでしっかり押さえて止血しましょう。
- 虫刺され薬(抗ヒスタミン)を塗る、もしくは血が止まらない場合は絆創膏を。
- 心配な場合は医療機関で受診を
マダニに噛まれたあと
- マダニが服など取れる場所についた場合はガムテープなどではがします
- 体に噛みついていた場合、最大10日間も体について血を吸い続けます。自分で取らずに医療機関(皮膚科など)を受診し適切な処置を受けましょう。自分で取ろうとすると口が体に残る可能性があります。
発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)を主張とし、ときに、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴う。血液所見では、血小板減少(10万/㎣未満)、白血球減少(4000/㎣未満)、血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められる。致死率は10~30%程度である。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について(厚生労働省)
日本のディスクゴルフコースで遭遇する吸血虫
基本的には、ここで挙げた虫は全国各地で遭遇する可能性がありますが、特に実際にこのコースに〇〇がよく出るよというお話を聞いたり、自分が刺されたり、という経験からの情報をまとめたいと思います。一部の話ですので、もし経験談などがあればコメントなどで是非お聞かせください。
アブ・ハチの情報があるコース
- 北欧の杜公園ディスクゴルフコース
- 岩手県北上総合運動公園
岩手県北上総合運動公園は公認コースではありませんが、毎年みちのくオープンが開催されていますね。一度8月に行った際は特に気になりませんでしたが、試合中ハチが多い時があるそうです。
ヒルの情報があるコース
ここは夏場はヒルが出ますので、ホームコースにしている方はヒルへの対策を熟知していますね。投げたディスクや、置いたバッグについているので注意です。
ブヨの情報があるコース
- 舞子ディスクゴルフパーク
- 清津川フレッシュパーク・ディスクゴルフコース
初めて舞子に行った夏に刺され、そこから痒みが続くこと約数か月…この記事を書くきっかけにもなったブヨが多い場所です。清津川もブヨが多いそうなので、万全のスタイルで臨みましょう。
マダニの情報があるコース
今のところマダニが出たコース情報はありませんが、九州出身の選手が福岡の山でトラベラーを置き練習していたところ、一緒に居た方が帰ったらマダニに噛みつかれており、血を吸ったマダニは1㎝ほどの大きさになっていたそう。皮膚科に行き取ってもらい大事には至らなかったようで何よりですが、関西以南のコースではより注意をしたいですね。
以上、ディスクゴルフに出る吸血性の虫の特徴と、その対策、刺されたり噛まれたりした際の対処方法の紹介でした。自然を存分に感じながらスポーツを楽しめるのがディスクゴルフの良いところ。その分、自然の影響も受ける部分もあります。自然の虫ともうまく付き合いながら、ディスクゴルフを楽しみたいですね!